こどものためのピアノ連弾曲集 デュオ・レパートリー ドイツ作曲家編

既刊「デュオ・レパートリー　イギリス近代作曲家編」のシリーズ続刊。
音楽を学ぶにはアンサンブルをすることが最適。さらに、これからのピアニストは連弾で音楽力を養うことも必要。近年、ピアノコンクールなどでも連弾部門が多く設けられ、子供たちがピアノ連弾に取り組む機会が大幅に増えている。
本書は、旧来からの定番曲に続く新たなレパートリーとして、古典派～ロマン派の作品を焦点に、日本では採り上げられることの少ないドイツ作曲家による連弾曲を収録した曲集となっている。巻末には、ピアノ・デュオの研究家でもある松永晴紀による解説を掲載。

＜あとがき＞

　ドイツの連弾作品は、作曲家の名前をちょっとだけ挙げてみても、ベートーヴェン（数は少ないものの興味深い作品があります）はじめ、シューマン、ブラームス、レーガーと続く巨匠たちの傑作がたくさんあります。そうした巨匠たちの傑作、大作を大輪の花に例えれば、本書には、アンドレ、フォルクマン、スピンドラー、キールといった4人の作曲家による、まさに「イモーテルの花」のような、小さな花々…小品を所収いたしました。

　これまであまり取り上げられることがなかった4人の中には、膨大な情報量を誇る数十巻セットの音楽事典中にも項目すらない作曲家もいます。しかし、作曲家の名や作品が知られていないことと作品の魅力はまったく関係がありません。加えて、これまで知られていない作品に対して、新鮮な気持ちで向き合って2人で音楽を創り上げていく過程は、なにものにも替え難い連弾の、そして音楽そのものの楽しみ、喜びではないでしょうか。

　どうか、これらの可憐な花々を摘むのをためらわないでください。そしてそれぞれに個性的な色合いや形、香りや手触りなどを存分にお楽しみください。本書に所収された小品群をお楽しみいただき、またレッスンや発表会で大いに活用していただければ誠に幸いです。
松永晴紀