Godowsky【Java Suite】ゴドフスキー ジャワ組曲 フォノラマ~ピアノのための音紀行

【簡介】
 レオポルド・ゴドフスキーは19世紀末から20世紀前半にかけて活躍したコンポーザー=ピアニストであり、ピアノ音楽史上、極めて重要かつユニークな位置を占めている。
ピアニストとしての彼の技巧は「当時にあっての、いや、もしかしたら古今を通じての最も完璧なもの」であり、「ピアニストのためのピアニスト」と形容された。また、この極めて高度な技巧に裏付けされた彼の作品群はピアノ音楽に少なからぬ革命をもたらすものであった。
 技巧面が誤って強調され、正当な評価に恵まれない時期が続いたが、近年急速に再評価が進んでいる彼の作品は、完全なオリジナル作品と、他の作曲家の編曲をベースに大幅に手を加えた作品に大別することができる。
 当曲集は彼のオリジナル作品のうち、円熟期の傑作である「ジャワ組曲」全12曲を収めたもので、ゴドフスキーの魅力を知るには絶好の1冊である。
ジャワ組曲について
 ジャワ組曲はゴドフスキーが1923年（53歳時）に訪れたジャワ島（現インドネシア、当時はオランダ植民地）で見聞きした様々な印象をもとにまとめた12曲からなる曲集である。1924年秋から1925年春にかけて作曲され、友人である画家John Campbell Phillips（1873-1949）に献呈された。楽譜は1925年8月にCarl Fisher社から4冊に分けて出版された。その後、時期は不明であるが、アーティキュレーションの変更や運指の付加等の小改訂が少なくとも2度行われている。この改訂には曲の隅々へのこだわりが強く感じられる事から、ゴドフスキー自身が直接関与したものと推測される（「念のための」臨時記号の付加などは出版側による可能性もある）。当版はこのCarl Fisher改訂版（その代表として2001年刊行の“The Godowsky Collection, Vol. 1”を使用）を底本に、初版との比較、運指やペダリング等についての若干の考察を加えている。