Ch. V. Alkan【Esquisses, Op. 63】48 Motifs for Piano

【簡介】
『エスキス 作品63』は、48曲の通し番号付きの曲に、番号なしの終曲を加えた、計49曲からなる性格的小品集である。シャルル＝ヴァランタン・アルカン（フランス-パリ、1813-1888）の最も重要な作品のひとつであり、ひいてはピアノ小曲集というジャンルの歴史においても、紛う方なき傑作のひとつとして語り継がれるべき作品である。
収録された小品は15年以上にわたって書きためられたものであることが知られており、すべてに作曲者自身によってタイトルが与えられている。ふとした瞬間の感情や思いつきを手際よく切り取り、気負うことなく簡潔に表現した内容は、まさにエスキス＝素描集と呼ぶに相応しい。
しかし、単にスケッチを寄せ集めただけの代物と思うのは大間違いだ。全体は、ハ長調に始まって24の調性を2周し、終曲でハ長調に回帰する、というコンセプトの下にまとめられており、49曲通してひとつの大きな世界を構築するよう意図されているのである。24の調性を網羅するという形でまとめられた小曲集はいくつもあるが、『エスキス』の構想の大きさは単純計算でそれらの倍以上ということになる。
全曲揃ってこその作品であるとはいえ、個々の小品を取り出してみても、その面白さ、バラエティの豊かさは他に例を見ないレベルである。
あらゆる雰囲気に対応した多彩な性格的小品が揃っているため、演奏会用のアンコールピースを探すような場合にも最適だろう。
同様の理由から、ピアノ学習者が日々の練習の一環としてこの曲集を取り上げることも、演奏の幅を広げるための良い選択となるはずだ。指の訓練に適した曲も多い。